玄文社主人の書斎

極私的読書空間

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

アルベール・ベガン『真視の人 バルザック』(1)

私設図書館として私どもが運営する「游文舎」で、アルベール・ベガンの『真視の人 バルザック』という本を発見したので、早速読んでみた。アルベール・ベガン(1901~1958)はスイスの学者で、その大著『ロマン的魂と夢』が有名。その本は学生時代に買って読…

オノレ・ド・バルザック『ルイ・ランベール』(5)

ルイ・ランベールのような青年の極端に観念的な精神性が、ある種の幼稚さに支えられていることは、バルザックが言うまでもなく自明であり、それは極めて危険な状態である。本人は自らの観念性を自分の偉大さを証明するものと思っているかもしれないが、それ…

オノレ・ド・バルザック『ルイ・ランベール』(4)

さて、この小説が「人間喜劇」の中の「哲学的研究」に位置づけられ、その中でも特別な光を放っているのは、そこでスウェデンボルグの思想やルイ自身の思想についての多くの議論が行われているからである。『セラフィタ』でもそうした議論はあったが、『ルイ…

オノレ・ド・バルザック『ルイ・ランベール』(3)

実は私にもそのような観念の世界での友人が、高校時代に一人だけ存在した。『ルイ・ランベール』はバルザックの自伝的小説だと言われているが、彼もまたルイのように学生生活の中で孤立を深めながらも、観念の世界での友人を得ることがあったのかもしれない…

オノレ・ド・バルザック『ルイ・ランベール』(2)

ルイ・ランベールは幼少期から聖書に親しみ、10歳の頃には読む本を寄附してもらうために町中を歩きまわったという。そしてスウェデンボルグの『天界と地獄』という神秘思想の本に出会い、決定的な影響を受けるに至る。 当時まだフランスではほとんど知られ…

オノレ・ド・バルザック『ルイ・ランベール』(1)

バルザックの『幻滅』について書いてから、5か月が経過しようとしている。この間、「北方文学」82号の原稿があったり、同人の霜田文子の本『地図への旅』編集作業があったりして忙しかったのだが、相変わらずバルザックはよく読んでいた。 水声社から出て…